要約：昨日の続きで、複数のボックスサイズとフォントでテスト。Chromium43は、ボックス横幅が用紙幅に近ければフィットさせる。ボックス横幅が用紙幅よりかなり小さい場合も微妙に拡大。Firefoxは常にきっちり96DPI（PPI）でブレない。フォント埋め込み関連は明日書きます。
Contents

実行環境、テスト用Webコンテンツ
• Windows7 32bit + Chromium Portable 43, Firefox Portable 39（昨日と同じ）
• PDF出力 …Acrobat X Proと、ChromiumビルトインのSave as PDF機能。
• Webコンテンツ … 下記3つのHTMLをローカルに置いてブラウザで開く。

ファイル名ボックス横幅フォント（文字サイズ : 36px）
width4inch_meiryo.html96px * 4メイリオ
width8inch_ricty.html96px * 8Ricty Diminished Discord（ショートカットでインストール）
width10inch_noto.html96px * 10Noto Sans Japanes (Web Font) »Google Fonts

HTMLのボックス横幅と文字以外は昨日と同じ。きっちり96PPIで印刷（PDF出力）されれば、ボックス横幅がそれぞれ4インチ（101.6mm）、8インチ（203.2mm）、10インチ（254mm）になり、文字は27ポイント（DTP用サイズで。36px÷96px/inch×72pt/inch）になる想定。HTMLのソースを下記に、フレーム内スクロールで表示しておきます。
width4inch_meiryo.htmlSelectRawtextBitbucket
<!DOCTYPE html><html><head><meta charset="UTF-8">
<style>
body {
  font-family: Meiryo;
  margin: 0;
}
div {
  background: #ABCDEF;
  color: white;
  font-size: 36px;
  height: calc(96px * 4 - 10px * 2);
  line-height: 1.75;
  overflow: hidden;
  padding: 10px 20px;
  width: calc(96px * 4 - 20px * 2);
}
</style>
</head>
<body>
<div>
  height: 4インチ（96ピクセル * 4）<br>
  width: 4インチ（96ピクセル * 4）<br>
  フォント: メイリオ（システム内）
</div>
</body>
</html>
width8inch_ricty.htmlSelectRawtextBitbucket
<!DOCTYPE html><html><head><meta charset="UTF-8">
<style>
body {
  font-family: 'Ricty Diminished Discord'; /* Chromiumでは無効 */
  margin: 0;
}
div {
  background: #ABCDEF;
  color: white;
  font-size: 36px;
  height: calc(96px * 4 - 10px * 2);
  line-height: 1.75;
  overflow: hidden;
  padding: 10px 20px;
  width: calc(96px * 8 - 20px * 2);
}
</style>
</head>
<body>
<div>
  height: 4インチ（96ピクセル * 4）<br>
  width: 8インチ（96ピクセル * 8）<br>
  フォント: Ricty Diminished Discord（ショートカットでインストール、Chromiumでは無効）
</div>
</body>
</html>
width10inch_noto.htmlSelectRawtextBitbucket
<!DOCTYPE html><html><head><meta charset="UTF-8">
<style>
@import url(http://fonts.googleapis.com/earlyaccess/notosansjapanese.css);
body {
  font-family: 'Noto Sans Japanese';
  margin: 0;
}
div {
  background: #ABCDEF;
  color: white;
  font-size: 36px;
  height: calc(96px * 4 - 10px * 2);
  line-height: 1.75;
  overflow: hidden;
  padding: 10px 20px;
  width: calc(96px * 10 - 20px * 2);
}
</style>
</head>
<body>
<div>
  height: 4インチ（96ピクセル * 4）<br>
  width: 10インチ（96ピクセル * 10）<br>
  ウェブフォント: Noto Sans Japanese (Google Fonts)
</div>
</body>
</html>


ブラウザ上の表示、出力設定
下が、3つのHTMLごとにChromiumとFirefoxの表示を並べたところ（右/上がChromium）。各種の寸法は両ブラウザとも同じで、違う点は、フォントにRicty Diminished Discord（ショートカットとしてインストールしたもの）を使った真ん中。Chromiumでは、そういうインストール方法のフォントは認識されない、またはパスか何かの問題でショートカット先を辿れないのかも。

出力時の用紙設定は昨日と同じで「A4縦、マージンなし」。設定の様子など詳細は昨日書きました。ボックス横幅が10インチのHTMLは、ボックスが用紙横幅より大きい。そういう、Webコンテンツが用紙をはみ出す時のPDF出力結果の検証も兼ねています。


結果
昨日はChromium＋AcrobatでPDF出力できなかったけど（Chromiumが強制終了した）今日はでき、結果的に3種類のPDF出力、すなわち①Chromium単独、②Chromium＋Acrobat、③Firefox＋Acrobatが得られました。PDFを昨日と同様にIllustrator CS5で読み込み、ボックスと文字サイズを計測。


■ 出力されたPDFへのリンク
元HTML①Chromium単独②Chromium＋Acrobat③Firefox＋Acrobat
width4inch_meiryo.html↗↗↗
width8inch_ricty.html↗↗↗
width10inch_noto.html0↗↗↗

■ ボックス横幅
元HTML元サイズPDF①PDF②PDF③
width4inch_meiryo.html96px * 4108.482 mm108.67 mm101.6 mm
width8inch_ricty.html96px * 8209.892 mm209.719 mm203.2 mm
width10inch_noto.html96px * 10209.906 mm209.719 mm209.889 mm

■ ボックス縦長
元HTML元サイズPDF①PDF②PDF③
width4inch_meiryo.html96px * 4108.482 mm108.839 mm101.6 mm
width8inch_ricty.html96px * 4104.946 mm105.283 mm101.6 mm
width10inch_noto.html96px * 483.962 mm84.328 mm101.6 mm

■ ボックス縦長の、元サイズに対する比率（96DPIとして）
■ ※これをWebコンテンツ全体に対する拡大縮小率と見なせる
元HTMLPDF①PDF②PDF③
width4inch_meiryo.html1.0677…1.071251
width8inch_ricty.html1.0329…1.036251
width10inch_noto.html0.8263…0.831

■ 文字サイズ （NA :アウトライン化されたので計測せず）
元HTML元サイズPDF①PDF②PDF③
width4inch_meiryo.html36px28.83 ptNA27pt
width8inch_ricty.html36px27.89 ptNA27pt
width10inch_noto.html36pxNANANA

Firefoxは常にきっちり96DPI
とりあえず上の結果から言えそうなこと。
1） Chromiumの二つの出力（①単独、②Acrobat印刷）とも、Webコンテンツ横幅が用紙幅に近い時（8インチ）や超える時（10インチ）は用紙幅にフィットさせると分かった。Webコンテンツ横幅が用紙幅よりかなり小さい時（4インチ）も原寸ではなく微妙に拡大されて、その率は謎。Firefox＋Acrobat③は、Webコンテンツの大きさに関係なく常に96DPIで出力し、安定してる。

2） Chromiumの拡大縮小率は、単独でのPDF化①と、Acrobat併用②とで微妙に違う。後者の方が数値を切りよく丸めてるような印象。

3） 文字サイズは、96DPIとDTPでのポイントサイズで計算すればHTMLの36px÷96px/inch×72pt/inch = 27ポイントになるはずが、ChromiumはWebコンテンツの拡大縮小に比例して変化し、Firefoxはきっちり27ポイント。ただし三番目のHTML（Webフォント使用）はPDF出力の時点でアウトライン化されたので、正確なサイズは未検証。

というわけで、昨日の時点では「Chromiumによる挙動や拡大率を把握することで、単独でPDF出力できるメリットを活かせる」と思っていたけど、どうも謎が多いので難しい。当面、仕上りサイズをきちんと想定してWebコンテンツをPDF出力する際は、Firefox一択になりそう。

なおFirefox＋Acrobat③でWebコンテンツが用紙幅を超えた場合（10インチ）、ボックスは用紙内にクリップされる一方、文字は用紙外の部分も残った。これはAcrobatの設定によるかもしれないけど。


実行環境で書いたとおり、今日試した3つのHTMLはフォントの種類がそれぞれ違う（システム内のメイリオ、ショートカットでインストールしたRicty、WebフォントのNoto）。今日も少し書きましたが、このフォント種類によるPDF出力時の文字情報の違いについて、明日まとめます。